
デリック・メイが久しぶりのリキッドルームだ。行かない手はない デトロイトから、素晴らしいテクニックと豊富なアイデアを持った、最高に魅力的なDJがやって来る。 デリック・メイは、セレブDJでもなければインフルエンサーDJでもない。DJの本来の役目とは、人々をソーシャルメディアの牢獄から引き離し、その身体を躍動させることにある。 液晶画面のスクロールに縛り付けることではなく、無心になって音楽に夢中にならせてくれることだ。 この文章を読んでいるのが、まだ若いクラバーであるなら、こう伝えておこう。これは、1980年代——シカゴでハウスが生まれ、デトロイトでテクノが生まれた頃から、当時のリアルな経験をもとにDJを始め、今なお第一線でプレイし続けているレジェンドの姿を体感できる貴重な機会だ。 何がほかのDJと違うのか、フロアに30分もいれば理解できる。そして彼は間違いなく、あなたを踊らせるだろう。 また、ベテランのクラバーにはこの一言で十分なはずだ。「デリック・メイが久しぶりにリキッドルームへ帰ってくる」。行かない手はない。 残りの人生はボーナスだと思って楽しもう(笑)。 未来をつくることは、過去を忘れることと同義ではない。そもそもテクノは未来を夢見る音楽でありながら、産業の崩壊や歴史の消去を経験した都市・デトロイトから生まれた音楽でもある。 デリック・メイはかつて「機械は愛情も感情も持たず、機械のために働き続ける人間もまた感情を失いかねない」と語った。 そして彼はダンス・ミュージックに「ハイテック・ソウル」というコンセプトを吹き込んだのだ。この話の続きは、またいつか。 ちなみにその日のDJ(の二人)は、『ele-king』創刊号の表紙を飾った二人でもあるのだった……。(ele-king 野田務)